東西ベルリンを分けた『ベルリンの壁』が崩壊したのは今から31年前の1989年11月9日。今年2020年6月13日にはその壁の取り壊し作業開始からちょうど30周年を迎えた。それを記念して、同日よりベルリンの壁記念館(Gedenkstätte Berliner Mauer)で展覧会が開かれている。

ベルナウアー通り
Berliner Mauer Ausstellung
『ヨーロッパの国境の価値-壁崩壊からコロナまで』展覧会


『ヨーロッパの国境の価値-壁崩壊からコロナまで』と名付けられた展覧会は、ベルナウアー通りからアッカー通り沿いにある壁の跡地内の屋外展示として、国境設備跡の手前に設置されている。展示場近くの壁跡には赤と白のトララインテープが貼られていて、パッと見はロックダウン後にあちこちで見られた立ち入り禁止になった公園のよう。展示パネルにも同様の装飾がされていて目を引く。

Berliner Mauer Ausstellung
国境設備跡の手前に設置された展示

展示は壁の取り壊しが始まった当時から今年3月以降のヨーロッパの国境封鎖の光景まで、人々を隔てるものとしての『国境』を改めて意識させる内容。ロックダウン以降、約3ヶ月間封鎖されていたヨーロッパの国境は明日(2020年6月15日)開く予定だが、ベルリンの壁は28年間も存在していたのだ。
この跡地にはなんども訪れているが、来るたびに当時の灰色の景色が見に浮かぶ気がする。屋外展示だけでなく記念館の内部も入場無料なので、観光に訪れた方には少しの時間を作ってでもぜひ観に来てほしい。


文と写真:萬谷衣里 Eri Mantani プロフィール