Month: June 2020

菜食について考える・『野菜好き』としてドイツに生きるピアニストのひとりごと

私はここ数年野菜中心の食生活を送っている。なにか一念発起して菜食主義を目指しているわけではないが「別にお肉は毎日食べなくても良いか」と野菜や豆類、魚などを積極的に調理するようにしていたら、それが美味しくて体の調子も良いので自然に摂取量が減っていった感じだ。自宅ではほぼ菜食だが、食事に招かれたり外食する際には肉料理をいただくことに躊躇はしないし、旅先で貴重なジビエに舌鼓を打つ機会もある。こういう『たまに肉や魚を食べる』人をセミ・ベジタリアン、またはフレキシタリアンとカテゴライズするそうだが、自分は言うならばただの『野菜好き』である。


ピュア・ベジタリアンのひとたちとの付き合いが始まったのはドイツに来て数年経った頃だった。当時の私にとって『ベジタリアン』は未知の領域で、そんなひとが実際にいるのか、と物珍しい目で見ていたと思う。ましてや『ヴィーガン』の存在など知る由もなかった。彼らが作ってくれたダルカレー(インドの豆のカレー)や、オーガニックのかぼちゃを皮付きのままスライスしてオーブンで焼いただけのシンプルな料理は驚くほど美味しくて、野菜だけでこんなに食事を楽しめるものなのかと衝撃を受けた。ベジタリアンになったきっかけは?と尋ねたところ、両親が菜食だったので自然とそうなったという人もいれば、思想的な理由を挙げる人もいた。


思えば食卓に肉が並ぶのは当たり前だった。家でも学校でも肉料理はほぼ毎日食べていたように思う。18歳で上京してひとり暮らしを始めてからも同じような食生活を続け、実技試験やリサイタルの前には縁起を担いで必ずと言って良いほどカツを食べていた。ベジタリアンのひとたちに出会う20代後半まで野菜中心の食事が可能だということに気付きもしなかったが、習慣に変化が訪れるとそれが新しい『当たり前』になり、難しいことを考えるまでもなく、体が欲するものとして多くの野菜を食べるようになって現在に至る。


生まれた時から菜食で育ってきた人に肉をすすめても受け付けられないのと同様に、肉が大好きで毎日欠かさず食べたいという人に『ミートフリー・マンデー』を一緒に始めようと誘っても難しいだろう。習慣に変化が訪れるタイミングというのは、何かしらのきっかけで本人が自ら選択を行う時だと思うが、劇的なターニングポイントがあった訳ではないのに私の食生活が徐々に変化したのは、身近にいた人たちの影響が大きい。こんな『野菜好き』として生きる可能性が生まれたのも、ベジタリアン人口の多いドイツ暮らしならではかもしれない。

ベルリンの湖は無法地帯?緑の楽園には白鳥や〇〇の人々の姿も

海がないベルリンでは、市内に多く点在する湖がその代わりをつとめている。じりじりと太陽が肌に迫ってくる今日この頃、ビール瓶を手にした人々が目指す先はやっぱり湖だ。午後になると大浴場化してしまうため、静かに楽しみたい人は午前中に行くのがベター。ジョギングや散歩をする人たちがいる一方で、朝風呂ならぬ朝スイミングにいそしむ人々の姿も多く見られる。湖畔は緑に溢れ、まさに楽園だ。


遊泳用に区切られた水域以外で泳ぐことは本来禁止されているが、泳ぎたい人は自己責任で楽しんでいる様子。そもそもコロナで有料のビーチは営業停止中だ。こちらは白鳥のファミリー(動画)。7羽の子だくさん家族である。その後ろに泳ぐ人たちの姿も見える。

白鳥の家族


28℃の朝、ジョギングの途中で私も湖に入りたくなり、裸足になって膝下までソロソロと水につかっていると後ろから年配の女性に声をかけられた。これから朝スイミングするところなのか、着替えをしている最中だった・・・と思いきや、次に振り向くと彼女は全裸であった。ここは温泉だったかなと思うくらいの自然な佇まいで私に話しかけながら、女性はお風呂、もとい湖に体を沈めようとしていた。ここはヌーディストビーチではないはずだけど・・・(ヌーディストビーチは区域が決まっている)。バッシャーンと水しぶきをあげて全身を浸した女性はとても気持ち良さそうだった。あまり細かいことは気にしなくて良いのかもしれない。


数分で入浴は終わり、さっさと服を身につけるご婦人。きっと彼女にとって朝の短い儀式なんだろう。ベルリンの湖は『自由であること』がルールなのかという気がした一件だった。

ティラミスもどき・生クリームとポートワインで作る大人のデザートの作り方

材料6つで作れる簡単な『ティラミスもどき』のレシピをお伝えしたい。レシピと呼ぶまでもないほど簡単だ。ポートワインというお酒が手元にあると良い。無ければラム酒でも美味しいはずだ。レーズンをポートワインに浸し数時間置く。生クリームを砂糖と一緒に泡だてたら、バタービスケットを一つずつ牛乳に浸してバットに並べる。その上に生クリームを重ね、さらにレーズンを散らす。これを3〜4度繰り返し層を作り、最後に生クリームで覆えば完成だ(その後数時間寝かすこと)。分量は以下を参考にしていただきたいが、基本は適当で大丈夫。ラズベリーなど、少し酸味のある果実を飾ると見た目や味にも華やかさが出て良いかもしれない。ふわふわになったビスケットとポートワイン漬けの濃厚レーズン、さらに生クリームのハーモニーが混じり合う大人のデザート。ぜひお試しあれ。


材料:
生クリーム 200ml
砂糖 20〜30g
バタービスケット 200g
牛乳 適量
レーズン 100g〜 お好みで
ポートワイン 適量(レーズンがひたひたになるくらい)

マスク義務化の効果はいかに・ベルリンでは違反者に罰金が科されることが決定

公共交通機関の利用や屋内での買い物の際にマスク着用が義務付けられるようになってからしばらく経つ。ベルリン市内でもいたるところでマスクが売られ、品薄だった頃が嘘のよう。デパートなどではお洒落な生地を使ったマスクが並び、ファッション小物的な位置付けだろうか、けっこうなお値段がしている。

薬局で買えるマスクは一枚1,5ユーロだ。再利用できるのか尋ねると、「110℃のオーブンで15分間焼いてください」とのこと。布マスクでなくてもリサイクルできるということらしい。

公共の場ではほとんどの人がマスクやそれに代わるもので口と鼻を覆い、ソーシャルディスタンスを出来るだけ保って行動しているが、中には全くお構いなしの様子で電車に乗る人もいたりする。そんな不届き者には今週の土曜日(6月27日)から50〜500ユーロの罰金が課されることが決まった。コントロールは警察によって行われるとのこと(Berliner Zeitung紙参照)。鞄の中にはいつも予備のマスクを忍ばせておかないといけないな。


つい数ヶ月前まではマスクなんて、と鼻で笑う人ばかりだったドイツで全てがひっくり返っている。土曜日からは接触制限も解かれ、人数に関係なく自由に人と会うことが可能になるが、緩まっていく諸々の制限に対し、厳格化が進むマスク着用義務と罰則の効果は期待できるだろうか。

コロナ禍での『フェット・ドゥ・ラ・ムジーク(音楽の祭日)』が過ぎて思うこと

6月21日は父の日だったが、『フェット・ドゥ・ラ・ムジーク Fête de la Musique』の日でもあった。1982年にフランスで誕生したフェット・ドゥ・ラ・ムジークは、夏至である6月21日に開催される。この日はみんな自由に音楽を演奏したり聴いたりして盛り上がろう!と同時多発的に世界各国、場所や形態を問わずライブコンサートが催される日だ。日本でも『音楽の祭日』として行われているが、今年はどこもオンラインでの開催にシフトしたようで、ベルリンでも同様だった。


天気の良い日曜日だったこの日、オンラインでの音楽祭とは一体どんなものだろうかと思い、ベルリンのフェット・ドゥ・ラ・ムジークのサイトにアクセスしてみた。ちょうどいくつかのコンサートがライブ配信されており、無観客の会場(屋外はもとより、図書館や自宅のリビング、果てはバスルームまで!)で演奏するアーティストたちの姿が映し出された。音質も悪くなく、束の間の気分転換に聴かせてもらうにはぴったりだった。


ただやはり、音楽祭という『お祭り』がこういう形で行われるのは残念に思う。私自身、同じくオンライン開催が決まったベルリンの某アートフェスティバルへの参加を、今年は見送ることにした。毎年楽しみにしていたイベントだったが、共同企画者である友人と相談したところ二人とも同じ考えで、この選択は私たちにとって正解だったと思う。


飛行機が再び飛び始め、狭い機内にマスクをした乗客がすし詰めになって座る一方で、コンサート会場は未だ休業を強いられている。動画配信をするオーケストラやアーティストたちも存在するが、インターネットを介さず本来の姿での公演へ向けてひたすら練習に精を出す音楽家も多いはずだ。無数の動画が溢れるオンラインの世界に参入することに躊躇する人もいるだろう。情報と技術には事欠かない現在、『表現』の方法もそれぞれに合ったものを選ばなければ自滅してしまう危険があるように思う。そんなことを音楽の祭日に考えた。

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