ドイツの国境制限解除と新型コロナ接触追跡アプリの開始
国境封鎖が解かれた昨日、ドイツ国内の空港は他国へ飛び立つ人々で大賑わいだったようだ。空港の警察が殺到する問い合わせの対応に追われる様子や、ドイツ人の休暇先ランキングトップを誇るスペインのマヨルカ島で、現地のホテル従業員たちが(お得意様である)ドイツからの旅行者を拍手で出迎える光景などが報道されていた。インタビューを受けたドイツ人旅行者は、コロナはもううんざりだと言わんばかりで、やっとこさ訪れたバケーションを味わえる喜びを心底噛み締めているようだった。
渡航に関しては各国の対応が異なる上、まだ諸々の措置や条件があるため手放しでは喜べないが、一連の制限が解除されちょっと一息ついた印象がある。なお、日本からのドイツへの入国・帰国に関しては6月16日現在、隔離措置は行われていないとのこと(感染リスクが低くなったということらしい)。ドイツへの入国・帰国者への14日間の隔離措置が課される対象国リストは、ロベルト・コッホ研究所のサイト上で確認できる。
また、ドイツでは本日新型コロナ接触追跡用の『コロナ警告アプリ(Corona-Warn-App )』が解禁された。かねてより開発されていた話題のアプリが遂にダウンロード可能となり、ニュースでも取り沙汰されている。一体どういう風に使われるのだろう。コロナ感染者と1,5メートル以内の接触があった場合、あとから通知がくるそうだが・・・。私はまだインストールしていないが、少し様子を見てみようかと思う。
フランス菓子が食べたくなったら・ベルリンの壁を訪れた後におすすめのカフェ DU BONHEUR
ベルリンの飲食店が再開して約1ヶ月が経った。天気の良い日が続いているのでレストランやカフェにも徐々に人が戻り始め、テラス席もそこそこ賑わっている(ただしテーブルはソーシャルディスタンス1,5メートルを空けて配置されている)。飲食店の屋内では各テーブルごとに紙と筆記具が用意され、来店者の連絡先を書くことが義務付けられている(名前や電話番号、メールアドレス等は4週間保管され、その後破棄されるとのこと)。個人情報保護云々をものともしない感。コロナ強しである。
さて、DU BONHEUR はベルリンでは珍しい本格的なフランスのパティスリー。ベルナウアー通りの『ベルリンの壁』から徒歩圏内で、休憩するにもってこいの立地だ。この小さなカフェに入店すれば、誰もがショーケースに釘付けになってしまうだろう。クロワッサンから始まり、マカロンやケーキ、クイニーアマンまで、宝石のごとく煌びやかなスウィーツに目移りすること間違いなし。店名のフランス語は「幸福」という意味らしい。納得。
ミルフィーユ(写真一枚目、左上)はオススメの一品。私は今回初めて食べ、必ずリピートしようと誓った。店内は着席不可でテラス席のみ開放されていたが、屋外で食べる場合は連絡先を残す必要はないらしい。普段と違い全てセルフサービスだったが、なんとなく気が楽になった。

ベルリンの壁・取り壊し開始30周年記念の展覧会『ヨーロッパの国境の価値-壁崩壊からコロナまで』が開催中
東西ベルリンを分けた『ベルリンの壁』が崩壊したのは今から31年前の1989年11月9日。今年2020年6月13日にはその壁の取り壊し作業開始からちょうど30周年を迎えた。それを記念して、同日よりベルリンの壁記念館(Gedenkstätte Berliner Mauer)で展覧会が開かれている。


『ヨーロッパの国境の価値-壁崩壊からコロナまで』と名付けられた展覧会は、ベルナウアー通りからアッカー通り沿いにある壁の跡地内の屋外展示として、国境設備跡の手前に設置されている。展示場近くの壁跡には赤と白のトララインテープが貼られていて、パッと見はロックダウン後にあちこちで見られた立ち入り禁止になった公園のよう。展示パネルにも同様の装飾がされていて目を引く。

展示は壁の取り壊しが始まった当時から今年3月以降のヨーロッパの国境封鎖の光景まで、人々を隔てるものとしての『国境』を改めて意識させる内容。ロックダウン以降、約3ヶ月間封鎖されていたヨーロッパの国境は明日(2020年6月15日)開く予定だが、ベルリンの壁は28年間も存在していたのだ。
この跡地にはなんども訪れているが、来るたびに当時の灰色の景色が見に浮かぶ気がする。屋外展示だけでなく記念館の内部も入場無料なので、観光に訪れた方には少しの時間を作ってでもぜひ観に来てほしい。
世界初・独フライブルク音大ピアノ科、自動演奏ピアノを駆使し遠隔リアルタイム入試を行う
一つ前の記事でドイツの音大の一部がコロナ危機に伴いオンライン入試(録画での実技審査)を行うと書いた(ドイツの音楽大学 2020年夏ゼメスター実施予定の入学試験を延期・オンライン審査に変更、または中止)。しかし、このビデオ審査という比較的「想定内」の方法の斜め上を行くヒットを飛ばしたのがフライブルク音大。なんと自動演奏ピアノを大学構内に設置し、はるか海の向こうにいる中国・日本の受験生たちの演奏を遠隔操作で再生し審査したというのだ。
以下、2020年6月10日付の Badische Zeitung 紙より抜粋 :
フライブルクの音楽大学で、初めてディスクラヴィアでの入学試験が行われた。日本と中国からの志願者はピアノ科の試験に臨んだが、特異点は受験者がアジアに滞在できることだった。審査委員会はフライブルクで特別なグランドピアノ(遠隔操作され上海と東京にいる受験生の演奏が再生できる)の前に座っていた。よって受験生は(アジアにいながらにして)フライブルクでリアルタイムで演奏することができ、フライブルクの現地受験生と同じチャンスを得ることができた。
これはヤマハのディスクラヴィア(Disklavier)という自動演奏ピアノが可能にしたもので、このテクノロジーを搭載したピアノはピアニストの演奏を非常に正確に録音し、また再生することができる。キーの動きが保存されたデータはインターネット経由で送信されるので、ピアニストが一台のディスクラヴィアを演奏し、別の場所で数ミリ秒の遅延で別のディスクラヴィアを制御する(再生させる)ことが可能。
フライブルク音楽大学はこのテクノロジーを15年間使用しており、教育と研究におけるディスクラヴィアの使用において世界をリードする機関の1つだ。「国際的に有名な大学として、EU圏外からの応募者が多数いるが、すべてがフライブルクに来ることはできないし、希望するわけでもない。現地での試験、ビデオ録画による試験、ビデオ会議、およびピアニストの場合はディスクラビアによる試験という選択肢を用意した」とピアノ科教授でこの研究と入試の責任者であるクリストフ・シシュカ氏は述べている。
この遠隔試験のために上海と東京に設置された入試会場はヤマハがサポートし、映像の送信も同時に行われたとのこと。シシュカ教授のインタビュー、ならびに中国人受験生の演奏(ショパンのエチュード作品10-1)はSWR2上で聞ける。受験生たちはこの機会にとても満足していたとのこと。
フライブルク音大では、1904年に再生ピアノを製造したWelte-Mignon社のもとで記録された過去の大ピアニストたちの演奏(ピアノロール)をディスクラヴィアに転送・再生し、レッスンに活用しているらしい。なんと新しい・・・いや、古いのか(?)。なんとなく美空ひばりのAIロボットを思い出さないではないが、一個人としてとても興味のある試みである。
なお、コロナ収束後もディスクラビアによる入学試験がフライブルク音楽大学で引き続き選択肢となるかどうかは未定とのこと。次回の入試時期(2021年1月)には普通に受験できる環境が戻っていてほしいものだ。
ドイツの音楽大学 2020年夏ゼメスター実施予定の入学試験を延期・オンライン審査に変更、または中止
コロナ危機に伴い、ドイツの音楽大学では2020年夏ゼメスター期間中(通常は6月)に実施予定の入学試験の実施方法・時期が変更された。ざっと確認したところ、
●7月〜9月に延期 ミュンヘン音大、ハンブルク音大、マインツ音大、ミュンスター音大
●10月に延期・一部オンライン審査 ハノーファー音大
●オンライン審査のみで実施 ベルリン芸大、ロストック音大、ブレーメン芸大、ヴュルツブルク音大
●オンライン一次審査のあと二次審査として通常の試験 ベルリン・ハンス・アイスラー音大、ドレスデン音大、フランクフルト音大、カールスルーエ音大、トロッシンゲン音大
…等々(リンク先は各大学の入試情報ページ)。
何らかの形で実施する大学が大半を占めているが、各大学で対応にばらつきがあり、まちまちな印象。デトモルト音大などはどうやら入試自体を中止し代替案はない模様。明確な情報が公開されていない大学もあるので全てをチェックすることはできなかったが、受験生には大学側から個別に変更の連絡が入っていることだろう。ちなみにオンライン審査とは、受験生があらかじめ収録した演奏の録画(ビデオ)を提出し、それを試験官が審査するというもの。
コロナ・パンデミック下の現在、できるものは全てインターネット上でせざるを得ないとはいえ、音楽・芸術分野というのは『実技』が物を言う世界。ワルシャワのショパン国際ピアノコンクールなど、世界的なコンクールが開催延期を決める中、入試を完全デジタル化した音大が(一部ではあるが)存在することは驚きだ。筆者の勤務先であるロストック音大もその一つだが、最先端を走る大学だと喜んで良いのかは微妙なところである。受験生、特に日本やその他諸国から留学を希望する人たちにとって、大きな不安要素ではないだろうか。
そもそも海外留学に向けて準備をすること、大学で通常形態の授業を受けること自体が困難ないま。異国の地ですでに勉強を始めている人たち、またはこれからチャレンジしようとする人たちにはどうかへこたれず頑張ってほしい。何かしら役立つ情報などあればここでお知らせしたいと思う。
ピアニストがコンサート本番前に飲むお茶とは?「カモミールティー」を手作りする
キク科の花・カモミールには抗ストレス、抗不安、安眠といった効果があると知って以来、カモミールティーがコンサートの本番前に飲むお茶の定番になった。温かい飲みものを口にすることで得る感覚は、出番を控えて緊張マックスの身体と精神を幾分かほぐしてくれるし、このハーブ独特の香りがなんとも言えず良い。
夏場は (特にここ数年は真夏の日本でツアーを行っているため)水だけで済ますことも多いが、秋冬は魔法瓶に淹れた温かいカモミールティーをコンサート会場に必ず持参する。ピアニストのちょっとした精神安定剤である。
そんなカモミールティー。これまでティーバッグで購入していたのだが、サイクリングに出かけた先の原っぱで大量に生えた野生のカモミールを収穫することができたので、手作りにトライしてみることにした。


手作り、と言ってもなんのことはない。花を洗って乾かすだけである。ただしアブラムシがついていないかだけは注意すべし。洗ったあと束にして窓辺に吊るしてみると、どこか違う国の台所に来たみたい。


このカモミール、どうやら乾かす前にお茶に使える花の部分だけ切って、ザルなどに入れて置いておけばよかったようだ。茎を残した状態で逆さに吊るしていたことで、黄色い花粉が落ちてきて掃除する羽目になってしまった。そして乾燥した花の部分だけ切るのがけっこう手間がかかる。最初はいそいそと一本ずつハサミで丁寧に切り取っていたのだが、15分も経つとしびれをきらし束のまま茎と一緒にザク切りにすることに。
というわけで約30分の手作業の末、出来上がったカモミールティーの茶葉。

ガラスのカップに注ぐと、色が映えてとても綺麗。お味のほうもなかなか。なんでも手作りすると美味しいね。

乾燥した花の状態のカモミールティーは、BIOショップなどで手に入る。ティーバッグは普通のスーパーでもお手頃価格(1ユーロ〜)で売られているので、ドイツ土産にも良いかもしれない。

